高齢者に見られる身体の変化と介護の注意点

高齢者を介護するときには、当然ながら常に細心の注意を払わなければなりません。そのためには、まず加齢による身体の変化を正しく理解し、安全に介護を行う必要があります。加齢によって起こる身体の変化の中には、「老人性難聴」と併せて「皮膚感覚機能の低下」が挙げられます。

老人性難聴とは、加齢によって聴力が衰えることであり、多くの人が発症する症状です。一方、皮膚感覚機能の低下とは、皮膚に張り巡らされた神経の動きが鈍くなり、刺激に対する認識が鈍くなることを言います。高齢者はよく火傷や凍傷になりやすい言われますが、これはは皮膚感覚機能が低下し、熱さや冷たさを感じにくくなっているためです。しかも、皮膚感覚機能の低下を高齢者自身が認識するのは困難なので、周囲の人による適切なケアが欠かせないと言われています。

それから、歳を取ると身体の細胞は損傷しやすく、再生もスムーズにできなくなってしまいます。要介護状態の高齢者に痣や擦り傷が生じやすいのは、圧迫や摩擦によって皮膚の細胞が損傷するためであり、若い人に比べると完治まで長い時間を要すことになります。また、何度も同じ部分に刺激を受けるとそこに痣や擦り傷が生じやすくなるのも高齢者に多く見られる特徴で、褥瘡が高齢者に生じやすいのもこのためです。ですから、介護を安全に行うためには、高齢者の皮膚感覚がどうなっているのかを正しく理解し、ダメージを与えないように配慮しなければなりません。